建物買取請求権とは

建物買取請求権というものは、借地契約が終わった際に、借地人が建設した建物を地主に買取を請求できる権利です。地主の意思には左右されずに、請求されれば売買契約が成立します。建物は再建築物であっても認められます。この権利は、形成権です。この規定というのは、借地人が使用した資本を回収するという目的があります。そして、建物を取り壊すことで生じる経済的な損失を考慮したものです。

 

また、第三者の建物買取請求権もあります。この権利のポイントは、契約の更新を間接的に強制することにあります。なお、買取価格というのは時価です。ただし違反契約があった場合には、地主は買い取りに応じる必要はありません。これは借地借家法の中で規定されています。

 

ところで、土地の権利には、所有権借地権という大きく二種類の権利が存在しています。そして、借地借家法においては、借地権の中で、地上権賃借権という権利が定められています。これは、建物保有を目的としている借地権の種類です。

 

関連記事:借地借家法(コンテンツ作成中)

 

まず、地上権がある場合、土地の権利を登記することができます。そのため、この権利上の土地にある建物を売却あるいは転売することが可能です。逆に、賃借権の場合には、建物を売却あるいは転売をする際には、地主の承諾が必要です。

 

ちなみに、借地権のマンションの多くは地上権となっています。一方で、一戸建ての住宅の多くは賃借権です。なお、駐車場は建物所有を目的としていないものなので借地借家法のなかのものには該当はしません。

 

ところで借地権の存続期間というのは、堅固な建物の所有を目的にするものは60年です。それ以外の建物を保有するものは30年です。そして、期間が満了し、契約更新されなかった場合は、建物買取請求権を行使することができます。

 

実は、この「借地契約が更新されない」という場合というのがポイントです。もしも、借地契約満了前に転居する場合には、借地上の建物を取り壊す必要があります。土地を更地に戻して、地主に返還をする義務が発生します。これは、原状回復義務というものです。

 

建物というのは一般的には多くの費用をかけて建てられています。建物の価値が残っているものも少なくありません。期間が満了する前に地主と合意解除を行った場合にも、地主と交渉する余地はあるので、建物を取り壊す必要がないか提案することはできます。判断は、地主に委ねることになります。

 

つまり、建物買取請求権があるために、地主側ではリスクを考えて、なるべく更新拒絶はしない考えになります。そして、借地の権利譲渡を承諾する方向になるのです。このように地主に一定の負担を負わせて、借地人を守るという性質の制度なのです。